『交通誘導警備』の適正化方策を語る
平成13年10月15日号

出席者【発言順】
フロンティア警備株式会社:代表取締役 住永 隆義氏
シティ警備保障株式会社:代表取締役 下山 隆氏
日本セキュリティサービス株式会社:代表取締役 倭文 浩樹氏
第一総合警備保障株式会社:代表取締役 久恒 康裕氏
三照株式会社:代表取締役 森 和代氏
【司会】 本誌主幹 羽切 一正
住永社長:普通の場合、警備員の給料を下げる前に、事務所を縮小するとか、まず固定管理費を節減するんですけれども、それにも限度があり、その時点で適正な利福を確保出来たとしても、ユーザーニーズに応じた拡充・拡大が出来にくくなる。我々の努力で、下落傾向を止め、なんとか低価格の現状を「反転」させないといけない。経営者研修会でも多くの部会員に危機感が出ており、適正価格化を皆さんは強く希望しておられた。それが本音でしょうね。不況という社会現象もありますが、こんな状況になってしまったのは全て不況だけのせいではないように思われます。
久恒社長:不況のせいのみでなく、下山さんが言われるように、業界の構造的な問題があり、今は過渡期にあるのではないでしょうか。
住永社長:ザックバランに言いますと、例えば、この分野はこれまで、警備員は頭数さえ揃えば良いと言った発想がとかく支配的でした。
下山社長:つまり、「人出し稼業」的なんですね。
住永社長:ええ。ところが近年はユーザーのニーズも大きく変わって来ていますし、世間の警備業に対する態度や期待感も変わって来ている。つまり、工事現場でも存在感の無い警備員が少なくなかった訳ですが、それを「警備員さんが居て、本当に良かった」と言われるようにして行かなければなりません。そのために、どうしたら良いのか、全国の協会関係者も頭を痛めている訳ですが、料金適正化が先なのか警備員資質の向上が先なのか――は別として、我々も手を携えて努力しなければ、と痛感しております。
本誌:現状は、様々な問題がリンクしており、交通誘導警備業務の適正な遂行を阻んでいるとのことですが、先程、倭文社長さんがご指摘の「営業力」の問題につきご意見をお願いします。
住永社長:営業的な努力をせず、単に「他社さんより、千円値下げしますよ」と言うだけのケースが少なくない。
派遣会社でない警備のプロだ!!
久恒社長:いわゆる提案型の営業が出来にくくなってしまっている。営業マンは、とかく売上実績で評価され易いため、安売りに走りがちです。我々は警備派遣会社ではなく、「警備会社であり、プロなんだ」から、「このような警備サービスを提供できますよ」と言うべきなのに、自信と誇りを持って、そう言える営業マンが少ない。そして、一番大切なのは営業マンのコスト意識です。例えば、これ以上の料金では受け切れない、もしも引き受けざるを得ない場合は、社内的にどう対応するのか、ということを一件一件ごとに詰めて行かないと、売上はどんどん伸びても利益が低下したら何にもなりません。また、警備を熟知していないと、「説得力」が出てきません。
「引き算」ばかりの情けない業界
倭文社長:正に仰る通りです。建設業者は文字通り「積算」するんですが、我々側は、情けないことに「引き算」ばかり。この金額で取ったから、それに見合う者を募集すれば良い、という安易な考えなんですね。それではいけません。当社では、営業マンに、希望する入社一年目の年俸をまず聞く。その希望額にそう年俸を考えるから、年間の売上高や利益率、自分の年俸など、予算を立てるように求めます。すると、希望した年俸をもう少し下げたい、と言う社員も出てきます。設立して間もない会社ですが、今後も、その方針を貫いて行きます。ところで、全警協の担当委員の立場で、先年、関東地方建設局に対し、2級検定取得者の場合は二万八千円以上という積算書を提出しますたが、それでも月給三十万円で、警察官の約半分に過ぎない。ところが、その積算額は高い、と言う業界人もいますが、私には、そう言う経営者の感覚は理解出来ません。営業マンらが一万二千円程度の見積を出したい云々のレベルに慣れてしまっていて、「高い」と感じるようです。積算して行く、つまり「積み上げて計算する」ことが当たり前となることが、今後、非常に大切だ、と考えています。
森社長:交通誘導警備検定取得者の話が出ましたが、取得手当てを支給している会社は少ないようですね。それも二千円だったり千円だったり、まちまちのようです。また、取得者を配置した場合、ユーザーはその分プラスしていますか。
住永社長:その分貰える場合と貰えない場合があります。例えば、発注官庁が取得者を二名以上出して欲しいというような場合は当然貰えます。
森社長:つまり、最初から配置を要求された場合以外は貰えないケースが多いと言うことですね。
住永社長:残念ですが、通常の場合はそうです。
倭文社長:つまり、(国土交通省などからの)「外圧」が必要なんです。
森社長:一人の合格者を出すために、どれ位の費用が掛かるかを私なりに試算したところ、最低でも十万以上にもなります。それで、何処でペイするのかが問題ですね。
住永社長:資格取得に要する費用は、森さんが言われたように、本来は個人が負担するべきですが、この業界ではバブル時代から引き続いて会社負担のケースが多い。で、個人負担にすると、受講料だけでも三万円以上も必要なので、どうしても受講したがらない。
森社長:会社がせっかく取得させても、給料などが良い会社に移ってしまうとなると、それこそ事業主は大変。つまり、取得者をスカウトした方が安上がり、と言う声も良く聞かれます。
久恒社長:そこで、費用の半分を本人に負担させる方法やら、個人が全額負担で取得することは勿論、真剣に仕事に取り組まないと社内的に昇格を認めないとかの案がありますが、それが現実的に可能かどうかは疑問です。
下山社長:当社の場合も会社の全額負担です。但し、受講前に一年以上は勤務するか否かを確認した上で、全額負担しますが、取得後、半年以内に退社した場合は全額を返して貰う。半年以上一年以内に退社したら、半額を返して貰うことにしています。また、料金がどんどん低下しているのは営業能力にも問題がある訳ですが、そうなるにはそれなりの因果関係があると思います。例えば、道路使用許可証に警備員の配置が書かれているからとか、検定取得者の配置を要求されているからとかの受け身の警備ではなく、「うちの警備員はコレダケの能力があり、同じ業務内容でもコレダケの違いが出てきますので、現場の安全確保の面、安心感の面でも、それが必ず反映されて来ます」とユーザーに言えるような警備員資質の向上や、それらを警備先ユーザーに具体的な形で提案し、説得出来るような努力が長年不足していたのではないか、と思われます。当社では、2級取得者には必ず各現場の「警備診断」や「警備計画」、その実施結果などのチェックを担当させユーザーに報告、提案し、同じ2級取得者でも、他社とはコレダケの違いがあることを実感して頂き、それを営業面に反映させるよう努めています。
久恒社長:警備員の資質向上の問題ですが、優秀な警備員が他の現場では酷評されるケースもあり、また、その逆もあるんですね。お客さんの求めている警備員像も好みも違う。また、検定取得者だからと言っても、必ず高く評価されるとは限らない。結局、個人の資質や人間性によるところも大きいのでは、と思われます。当社では、若手を中心に毎週一回、資質向上委員会を開いて、その辺を含め検討を重ねていますが、正直なところ手探りの状態です。
拡げよう!!地域安全活動の輪